フランスでの
レストランの楽しみ方 ~マナー~

 
フランス料理のマナーと言うとすごく難しいもののように感じてしまいます。
しかし、現実に働く側からフランス人を見て、みんなきっちりとしたマナーで食べているわけではなくて、日本人と全く変わらないことに気付きました。
料理の写真も撮るし、みんなで料理を分けるし、前菜とメインが一緒に出てきてしまっても抵抗感を感じないフランス人も多いです。
本当に日本人と一緒なんだなという驚きがあって、その部分を伝えたくてこのページを作成しました。
お客様はレストランの主役であり王様です。お客様が楽しんで料理を食べてもらえることが、サービスする側にとっても一番嬉しいことです。
なので、マナーを気にし過ぎないで欲しいなというのが私の想いです。
はっきり言って、日本人で失礼なほどのマナー違反をしている人は見たことがないですし、普通に食べてもらえば何の問題もないので気軽にフランス料理を食べてもらいたいです。

給仕する立場として嫌なお客様はむしろ日本人以外であることが多いです。
中国人か、フランス人でお高い人はかなり迷惑だったりします。
テーブルマナーをよく知っているはずの「お高い人たち」の方が、実際にはずっと手間がかかって迷惑なことが多いです。












服装

適当で良い。
三ツ星などの高級レストランではやはりそれなりに良い身なりのお客さんが多いですが、ジーパンにTシャツで来る人もいます。
極端に場を乱す服装でなければ大丈夫です。

(厳密には、お客様を断ることが法律違反であり罰せられます。
ドレスコードの設定は可能なのですが、ドレスコードを設定しているレストランはほぼありません。詳しくはここをご覧ください。)

 



小さい子供と行って良いのか?

それがレストラン側にとって嬉しいかは別として、OKです。
例え三ツ星レストランでも、小さな子供と行って良いことになっています。
泣き叫ぶ赤ちゃんと一緒だろうと、レストラン側に断る権利はなく、断った場合は「差別」としてかなりの罰金がレストランに科せられます。

 



レストランに入る

ボンジュール!と挨拶します。
普通はウェイターから席に案内されるのを待ちます。
ただ、案内を待たず、勝手に座ってしまうフランス人も多いです。 





 
食前の飲み物を選ぶ
(あるいは食事中の飲み物)
メニューを渡された後、「アペリティフ(食前酒)はいかがですか?」などと飲み物を聞かれることがよくあります。
アペリティフは頼んでも良いですし、頼まなくてもかまいません。
ちなみに、日本人としては意外ですが、「アペリティフ」は必ずしも飲み物を意味しません。ノンアルコールでも良いですし、食べ物を取る人もまれにいます。







 
食べ物を選ぶ

セットコースはフランスではMENU(ムニュ)と呼びます。
(ちなみに注文を選ぶための「メニュー」はフランス語で何かというと「Carte カルト」です。)
一般的なセットコースは4種類あります。

entree + plat  (前菜+メイン)
plat + dessert (メイン+デザート)
entree + plat + dessert (前菜+メイン+デザート)
値段のお高いオススメコースはDegustation (5品以上来る)

です。
一品ずつ頼む単品は A la carte アラカルト と呼びます。
選ぶのに困ったら、ウェイターさんにオススメを聞いてみるのが一番です。



 
ナプキンはどう使う?

普通にひざの上にかけて使ってください。テーブルに置いたままでも大丈夫です。
ナプキンを首につけるのはおじいちゃん・おばあちゃんだけです。


←これはおじいちゃん・おばあちゃんだけ。



飲み物選び

飲み物選びはソフトドリンクでもアルコールでも、お好きな物を注文して頂いてかまいません。
ワインなのですが、選択肢が多すぎて困った場合、ぜひお店の人にアドバイスを求めて欲しいと思います。
実はワインは必ずしも値段ではなくて、お店の安いワインのほうがむしろ高いワインよりおいしいことさえあります。
私が働いていたレストランは皮肉なことに、お店で一番安いワインが味が一番良くて、逆に値段の高いワインの中に「うっ」と思ってしまうような味のものもありました。
お客様からアドバイスを求められれば正直に一番評判の良いワインをお勧めするのですが、アドバイスを求められない限り、お客様がまずくて値段の高いワインを注文されてもそれをそのままお出しすることになります。


 















ワインテイスティングについて

ボトルワインを頼んだとき、高級レストランでは主催者のお客さんにワインテイスティングをお願いします。
私たちはきっとよく分からないでしょうから、少しだけ飲んで
「C'est bon. せ・ボン (これで良いです。)」
と言っておけば良いです。

ワインテイスティングは偉そうにうんちくを述べるためにあるわけではありません。
ワインテイスティングは実は毒見なんです。
腐っていないか、変な味がしないか、不純物が入っていないか、その日の料理と合うか、ゲストに失礼のないワインであるかを毒見して確かめるわけです。


ワインはこれが本当に必要な事情があります。

全ワインのうち数%の確率で、ブーショネという現象が起こります。
これはコルクの雑菌がワインに入り込むんです。
飲んでも全く問題ないのですが、コルク臭い味のワインになります。
もしブーショネしている場合は、
「このワインはブーショネしている。」と言うと、ワインを交換してくれます。
ブーショネのワインは料理などに使います。
オーストラリアなどのワインではプラスチックの安い蓋やあるいはガラスの蓋などが使われますが、蓋としてはコルクよりそっちの方がよっぽど優秀です。
もっと稀なケースでは、白ワインがなぜか炭酸になっていることがあります。
こちらは味としては問題ないんですが、本来炭酸のないものが炭酸になっているのは正しいとは言えません。

というわけで、
ワインテイスティングはまずワインの色を確かめて、不純物がないかを見て、においをかいで、味を確かめます。








 
水はeau plate オープラット (ミネラルウォーター) か eau gazeuse オーガズーズ (炭酸入りの水)か carafe d'eau カラフドー (水道水)を選びます。
eau plate オープラット (ミネラルウォーター)の有名な物には、EVIAN, VOLVIC, CAROLA BLEUなどがあります。
eau gazeuse オーガズーズ (炭酸入りの水)には
PERIER(天然強炭酸), CAROLA VERTE(加工微炭酸), CAROLA ROUGE(加工強炭酸), BADOITなどがあります。
炭酸水は慣れるまで非常にまずいですが、慣れれば料理の味を崩さないので最高の料理の友です。
天然の炭酸水は炭酸が抜けにくい特徴があります。









 
フォーク・ナイフのルール

フォークナイフは外側にあるものから使います。
高級店では一度使ったフォーク・ナイフは次の料理を食べるときに使わないので食べ終わったら皿の上に2本並べておきます。
(ウェイターが片付けやすい=食べ終わった。)
フォークとナイフを離して、八の字に皿の横に中途半端におくのは「まだ食べてます。」と言うサインです。
(ウェイターが片付けにくい=まだ食べてます。)
しかし逆に、星付き以外のレストランでは、同じフォーク・ナイフを次の料理にも使うので、食べ終わっても皿の上に乗せません。



 
料理のお皿を下げるとき

ウェイターが食べ終わった皿を下げる時、「どうでしたか?」「おいしかったですか?」と聞かれることがよくあります。
「Oui, c'etait tres bon. ウィー、セテ トレボン (おいしかった)」と言っておけば大丈夫です。
これはお客さんとのコミュニケーションを取るという意味合いもありますが、
食べ終わっているか分からないお皿を下げても良いですか?という意味合いがあります。










 
チーズについて

高級店ではデザートの前にチーズを食べます。また、それ以外の店でも、チーズがデザートの代わりになることもあります。
高級店では「どのチーズが良いですか?」と聞かれます。
10種類くらいあるので選択にはけっこう困ります。カマンベールチーズなどが食べやすくてオススメです。









デザート

高級店ではやりませんが、1つのデザートを複数人で分ける場合も多いです。 









コーヒー

フランス人は食後にコーヒーを飲むことがとても多いです。
京都では「ぶぶ漬け(お茶漬け)でもいかがどすか?」というのが、暗に客に帰れという意を含みます。
歴史を紐解くと、京都の人は食事の最後にデザートのようにお茶漬けを食べたらしく、それを食べたらもう他には何も食べない。
つまりは帰るということから来ています。
フランスでコーヒーはちょっと似た使い方をされるかもしれません。
コーヒーのあとに何かを食べることはありません。
なので早めにお客さんを帰らせたい時は、わざと早い段階でコーヒーを勧めたりすることがあります。

 






 
写真を撮る

写真を撮ることは無論良いマナーとは言えませんが、許容されます。フランス人もよくやっています。宣伝になりますし。





 
料理をみんなで分け合う

高級店以外では、一つの料理をみんなで分け合って食べるのはフランス人もよくやります。
意外に日本と同じです。










 
お勘定

お会計は基本的には自分のいるテーブルで支払います。
しかしたまにレジのあるところまで行かないといけない場合もあります。どこで払えば良いのかよくわからない場合もあります。
お会計を頼む時は
L'addition s'il vous plait ラディッション スィルブプレ (お会計お願いします。)
と言うか、
あるいはペンで紙に書くジェスチャーをします。
一部を現金やレストランチケットで、残りをクレジットカードで払うことも出来ます。
クレジットカードでチップを払いたいとき、チップを入れた価格で支払うことも出来ます。
それぞれが別々に支払うことももちろん可能です。
店としては嬉しくないですが、例えば、8人で来て8人が別々に払うこともよくあります。





 
チップ

払わなくて良いです。
良いサービスを受けたなと思ったとき、最大15%、上限10ユーロくらいを目安にお金を置くことができます。
チップを払う人は全体の30%くらいです。一般の大衆レストランでは、1ユーロか2ユーロ。3ユーロも出せばやや多いくらいの部類に入ります。主義として払わない人もいます。









 
残り物を持ち帰りはできるのか?

中国・日本レストランでは当たり前のように可能です。失礼ではありません。
逆にフランスレストランではあまりしません。








一番迷惑な行為は・・・

お店として一番困るのは、
「料理長を呼べ。」という行為です。
これがお高いフランス人のお客様が一番迷惑な理由です。
何か気に入らないことがあるとか、塩味が足りないとか・・・料理長を呼んで10分くらい叱ったりします。
料理長も必死でお客様全体への料理の指揮をしているので、料理長が10分抜けてしまうのは、他のお客様の料理の提供が全体で2~3分遅れます。
本人は叱りつけて気持ち良いのでしょうが、他のお客様にまで迷惑が及ぶという事で、非常に迷惑です。
逆に、「おいしいから料理長に直接お礼が言いたい」というのも、さりげに少しだけ迷惑だったりします。
お会計の時にちょっとお礼が言いたいという程度なら良いのですが、料理一品一品で呼ばれて、
「これのここがおいしかった。でも、ここはこうするともっと良かった。」
ということが時々あって、これは困ります。
常識の範囲を越えて、過度にサービスを呼びつけるという事で、
「お高いフランス人」
「一部の中国人」
が働く側として最も嫌なお客様でした。
 






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