ボヘミアンについて。


最近、ボヘミアン(移動民族)について人に話す機会がありました。
まずボヘミアンとは何か?から説明します。
ジプシーという言葉やロマという言葉もありますが、ジプシーもロマもボヘミアンも、大まかには同じ物を指すらしいです。
厳密には違うらしいのですが、とりあえず同じだと思って良いらしいです。
ボヘミアンの名の由来はボヘミアに住む人という意味。
ジプシーの名の由来は「エジプシアン(エジプト人)」から来ています。
1427 年、パリに突如として彼らは現れたらしいです。
彼らは自分たちのことを「エジプトから来た。」と説明したらしいです。
実際にはエジプトとはあまり関係がないらしく、彼ら の起源は恐らくは北インドと言われている。
(ただし今でもエジプト起源を主張する派閥もあるらしいです。)
起源5世紀から10世紀の頃、インドから逃げて各地へ移る旅人の生活が始まったらしいです。
パリの人もびっくりしたでしょう。
突然大勢の人がやってきて住み始めたのだから。
ボヘミアンはそんな感じで、1000年もの間、各地に衝撃を与えつつ移動生活を行ってきたらしいです。
現在でもボヘミアンは
ルーマニアに185万人、ブルガリア75万人、スペイン72万5000人、ハンガリー70万人、スロバキア49万人、フランス40万人、ギリシャ26万5000人、チェコ22万5000人、イタリア14万人
と各国に散らばって生きています。

私も最近まで知らなかったのですが、家の近所はボヘミアンの巣窟だと知りました。
葛城ゆきのヒット曲に「ボヘミアン」という曲がありますが、
そのせいで、ボヘミアンは「何にも縛られない孤高の旅人」みたいなイメージが私にはありましたが、
現実は全然違うのだと知りました。
よくよく考えたら今時旅人なんてやっていられません。
国境を越えれば不法入国です。それぞれの国の法律に従って生きなければなりません。
家を勝手に作ったら土地の不法占拠。国籍だって必要。下手なことしたら逮捕です。
そんなわけで、定住したボヘミアンたちは多く、私の近所のボヘミアンも移動とは全く関係なく、完全に定住し、社会の最底辺として生きています。スラム街みたいな感じの一画を構成しています。
家の近所に10人くらいのボヘミアンの違法住居と20人くらいの違法住居があるのは以前から知っていましたが、
すぐ近所に200人の違法住居があるのは驚きました。
道の両サイドにびっしりと違法トレーラーが立ち並んでいました。
洗濯機が14台もありました。まぁ、200人もいればね・・・。
彼らの家はキャンピングカーの荷台部分。(車の部分はないので移動できない。)
イメージしにくければ、トレーラーみたいな感じです。あるいはコンテナ。それが彼らの家です。
子供も女もたくさんいます。人種はペルーの人みたいな顔をしています。
みんな楽しそうに生きていますが、学校には行かない子供が多いです。
昔は鍛冶や金属加工、民芸品販売や占いで生計を立てていたそうですが、現代はもっぱら自動車の解体や中古車転売で生計を立てているらしいです。
散歩でよく横を通るので、この人たちはどういう経緯の人たちなんだろうと不思議に思っていました。
子供たちが学校に行く様子はないし、汚くて、暗くて、いつも自動車を解体してて、洗濯をよくしています。
外で汚いテーブルを並べてお茶を飲んだりもしてるが、入り口が汚い布などで閉ざされていて、中はあまり見えません。
まぁともかく汚くて治安の悪そうな雰囲気をかもし出しています。最初はホームレスだと思っていました。

「パリにいっぱいいるよね。お金を要求してくる。」とコメントをいただきました。
それは(基本的には)ボヘミアンではなくてホームレスなんです。(パリは違うかもしれません。)
というか私もフランスに住んでいながら区別がつきませんでした。
ホームレスとボヘミアンはパッと見同じような生活をしています。
ホームレスとボヘミアンの最大の違いはやはり、家族がいることだろうと思います。
ボヘミアンには必ず家族がいて、子どもたちがいて、女もいます。パッと見は楽しそうな生活をしています。
それから家が違います。ボヘミアンはコンテナに住んでいます。ホームレスは車に住んでたりとかケースが色々です。
それから仕事が違います。
ホームレスはお金をせびって恵んでもらって生きます。
ボヘミアンは主に自動車解体をお金にして生きています。
人種も違います。ボヘミアンは(ある程度)一定の人種ですが、ホームレスは様々です。

ボヘミアンが安全な人たちとは思えないけど、ホームレスよりはましだろうと思います。
(パリは別かもしれませんが、)
ボヘミアンはそんなに人に迷惑をかけません。
ホームレスは酒や麻薬に溺れてたり、本当にやばいです。


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