外国人と結婚して海外に住むことに、華やかでかっこ良いイメージを持っておられるかもしれません。 また逆に、離婚率が高いとか、不自由だとか、悪いイメージを持っておられるかもしれません。 どちらが正しいのでしょうか? 日本で外国人と住む場合ではなく、海外で住んでいく場合について、私なりの見解をお話したいと思います。 |
数字でみる国際結婚 第二次世界大戦以後、国際化に伴って、日本人・外国人の婚姻数は増え続けました。 1975年には6045組の日本人・外国人の婚姻がありましたが、2007年には40272組が結婚しています。 外国人との婚姻数は増え続けてはいますが、近年は増加率は緩やかになってきて、約45000組ほどで安定しつつあります。 2007年のデータではこのうち、 31807組が日本人男性・外国人女性のカップルで 8465組が日本人女性・外国人男性のカップルです。 外国人との結婚というと、「日本人女性・外国人男性カップル」を想像しがちですが、実際の数は「日本人男性・外国人女性のカップル」が4倍近い数になっています。 日本に出稼ぎにやってきたフィリピン人女性や、農村花嫁としてブローカーの仲介によってやってきた外国人女性が大きく関係しているようです。 外国人の国籍は、中国、フィリピン、韓国、朝鮮の順になっています。 実際、離婚率は高いのか? まず、外国人との結婚は離婚率が高いという話を聞きます。 本当のところどうなのでしょうか? 調べてみました。 平成22年の離婚率 日本人夫 アメリカ人妻 33.1% 日本人妻 アメリカ人夫 29.8% 日本人夫 中国人妻 56.7% 日本人妻 中国人夫 69.4% 日本人夫 韓国人妻 69.8% 日本人妻 韓国人夫 49.2% 日本人夫 フィリピン人妻 88.8% 日本人妻 フィリピン人夫 86.2% 日本人夫 その他の国 61.9% 日本人妻 その他の国 56.5% というわけで、日本人同士よりは離婚率は遥かに高いことがわかりました。 また、男女差はあまり見られないらしいこともわかりました。 離婚率がすごく高そうなイメージのあるアメリカ人との婚姻ですが、意外にも低いことがわかりました。 また、フィリピン人との婚姻の場合、離婚率が異常に高いこともわかりました。 ちなみに 日本人同士の離婚率35.7%(3組に1組が離婚) アメリカ人同士の離婚率47%(2組に1組が離婚) フランス人同士の離婚率約40%(PACSという制度によってそもそも結婚が減少) です。 *数字のソースについて 外国人との結婚、実際の生活はどうなのか? *ここでは外国に住む日本人・外国人のカップルについてお話します。 実際問題、外国人との結婚も日本人との結婚も大差ないと、個人的には思います。 「文化の違い」という言葉がありますが、これは曖昧で非常に都合の良い言葉です。 考え方によっては全て文化の違いのせいにすることもできますし、考え方によっては全て個性の違いということもできます。 例えば、イタリア人と結婚した場合、その男性が時間にルーズで、待ち合わせにいつも遅れて来る人だったとします。これは文化の違いですか?それとも個性の違いですか? イタリア人が時間にルーズな人が多いのは有名です。そういう考えなら文化の違いです。 しかしイタリア人でも時間にきっちり来る人もいるわけです。 日本人でも時間にルーズな人もいます。個性の違いと言うこともできるわけです。 考えようによっては全て文化の違いのせいにできますし、また考えようによっては全て個性の違いです。時間に遅れる人だから遅れるのです。 私は個人的には、個性の違いとして捉えています。 時間に遅れる習性を持ったイタリア人という、そういう個人を好きになって結婚したわけです。 その側面も含めて個性だと思います。 イタリア人だから彼は遅刻する、という考えだと、今後もずっと全てのイタリア人とのお付き合いはできないということです。例え、時間にきっちりしたイタリア人がいたとしても。 私は「文化の違い」という言葉のせいにしてしまうのが嫌いなのかもしれません。便利すぎる言葉ですから。 私はそういう考え方ですから、外国人との結婚も、日本人と大差ないと思っています。 結婚は個人と個人の話ですから、違いは当然たくさんありますが、そういうものも理解して結婚に至るものだと思います。 国が合わない事はある 相方のことが好きかどうかは別として、国が合わないということはとても良くあることです。 宗教、文化、慣習、仕事、言葉、不自由、制約 外国に住むことは様々な違いがあり、そこが面白いところでもありますし、また逆にストレスになったりもします。 国が合わないとどうしようもありません。 例え相方が好きでも、国が合わないならそこで暮らすのはとても難しいことです。 それが原因で離婚に至ることも当然あると思いますし、また逆に、その国に住み続けたいから敢えて離婚しない(ビザのため)というカップルもいると思います。 離婚こそが国際結婚の最大の違い 外国人との結婚は日本人同士と大差ないと言った私ですが、離婚については日本人同士と大違いです。 これこそが外国人との結婚と日本人同士の結婚との最大の違いであり、皆さんにぜひ知って欲しいところです。 離婚は日本でも大変なことです。 結婚するときの100倍の労力が必要になると言います。 日本人同士が100倍なら、外国人との結婚は1000倍かもしれません。 人生がかかってきます。 例えば、30歳の日本人女性とフランス人男性のカップルをイメージしてください。 この時点で離婚したとします。 これは大丈夫なんです。 恐らく、多くの場合日本人女性は日本の実家に帰るでしょう。 そこから日本に戻って、仕事を見つけて、また新たな人生をスタートさせるわけです。 しかし、これが40歳女性だったらどうでしょう? 例えば仮に25歳の時にフランス人と結婚しフランス生活を開始させたとします。 28の時に子供が生まれます。 30歳のころから旦那との関係が悪くなりますが、子供のためにも離婚したくなかったため我慢し続けます。 しかし、40歳になったとき、ついに我慢できなくなり離婚を決めます。 さあ、どうなるでしょうか? まず大きな要素が子供です。 子供は生まれてからずっとフランス育ちで、もはやフランス人です。 日本語があまりうまくない場合もよくあります。 両親が離婚しても、当然子供は日本に住みたくはないわけです。 言葉が流暢ならまだ良いでしょうが、ハーフだからといって母国語並みに言葉が流暢にはなかなかなれません。フランスに住んでますから。 一方で、夫の方も子供の親権を主張します。 子供を日本に連れて帰る事はなかなか難しいんです。 ということで子供はフランスに残さざるをえません。 その女性は日本に帰ったら、もうほとんど子供には会えなくなってしまうわけです。 耐えられますか? それから、仕事です。 40歳で日本に帰っても、再就職はなかなか難しいものがあります。 子供に会えなくなる、再就職も難しい、日本に帰ってももう結婚できないかもしれない・・・ そして何よりすでに10年以上住んだこの地・・・ 様々な思いを抱きつつ、多くは渋々にもフランスに滞在し続けることを選ぶわけです。 離婚後、仕事はどうする?家は?保証人は? 離婚すると、それまで夫婦で住んでいたアパートを出ることになったりします。 出るは良いですが、どうやってアパートを見つけましょうか? アパートを借りるには日本と同じで「保証人」が必要です。 日本では両親や親戚が保証人になってくれたりしますね。 フランスには両親も親戚もいませんし、日本の両親はフランスでは保証人として認められないことが多いです。 どうしましょうか? フランスの親しい知人に保証人になってくれるよう頼むか、あるいは元旦那を説得して保証人になってもらうか・・・ いずれにせよ嫌な作業です。 それから、仕事が必須です。 仕事がなければアパートなんか借りられません。 しかし、私たちは日本人です。 フランス人でさえ就職難と言われる時代、仕事先なんてありません。 雇用者の立場になってみると、日本人は言葉がフランス人より劣るわけです。 その人を雇う理由がありません 日本人にはフランスでは、日本食レストラン以外の仕事はまずありません。 パリでさえも、日本食レストラン以外の職場を見つけるのは相当難しいでしょう。 というわけで、通常ですと日本食レストランで働く・・・ということになります。 子供のために・・・そして自分のために。 日本レストランで。 日本レストランでは当然お昼と夜の間の中断時間があります。 仕事は10:30-14:30、18:00-23:30などになります。 10:30に働くという事は、遅くとも10:00に家を出ます。9:00に起きます。 帰りは仕事が終わって家に着くと深夜0:00です。 つまり9:00-0:00です。 それからお風呂に入って、軽く食べて、インターネットなどをやって、1:00ごろ寝ます。 次の日は9:00に起きます。 まるで一日中働いているような錯覚に陥ります。 子供は朝8:00から学校、夜は20:00くらいには寝てしまいます。 子供との時間は皆無です。 夢も希望もありません。 中断時間がものすごく鬱陶しいんです。 お昼と夜の間の3時間半、何をやりますか? 家に帰れば往復で1時間使ってしまいます。 結局は本を読んだり、買い物したり、カフェで時間を潰したりします。 もしも夜18:00に終わるような仕事なら良いのですが、この中断時間のせいで人に会うことも難しいですし、自分の真の自由時間もありません。 日本レストランでの仕事は時間効率が最低なんです。 常に外に出ていますから、子供にご飯を作ったりお世話もできませんから、平日は子供は元旦那さんが預かるのでしょう。 子供と会うためにフランスに残ったのに、なんのために生きているのかさえ分からなくなってきます。 それに加えて、日本レストラン・中国レストランでは違法労働が横行しています。 オーナーは王様です。誰も止められない無法地帯です。 なぜそんなことになっているのか、その理由はいくつもあります。 大きな理由は労働者が反抗しないからです。 私たちは日本人ですから、そのレストランを首になれば次にどこかで働ける保証がありません。 だから反抗しません。 それから法律を良く理解していません。 何が法律違反なのかさえ分かっていないのですから、反抗できません。 そして言葉です。 いくら10年フランスにいるからといって、言葉は母国語並みにはなりません。 裁判は厳しいんです。なので裁判を避けます。オーナーを告発しません。 苦しんでいる労働者を助けるために機関がフランスにもありますが、その存在さえ知らない場合もあります。 そんな様々な要素が組み合わさって、多くの日本レストラン・中国レストランでは法律が一切守られていません。 そこで働いていくわけです。 そして生活は。 さみしくなっても、辛くなっても、泣きつける実家はフランスにはありません。 実家に帰る金さえありません。 多くのレストランは月給は最低時給の月11万5000円の給料です。 友達と遊んで気分を晴らそうとしても、その時間さえない状態です。 それに加えてやってくるのが、旦那と暮らしていた時代には全く関係なかった煩雑な作業です。 毎日様々な郵便物が届きます。 銀行関係、保健所手続き、子供手当関係、住民税、所得税、住宅、ビザ手続き、免許関係・・・ 恐らく多くのカップルが外国人の相方に作業を任せているでしょう。 その方が早いですし、簡単ですから。 それを自分でやっていくことになります。これが読むだけで大変です。 何が重要な書類で何が重要な書類でないのか、どの書類は送り返さなければならないのか? それらの判断だけでもけっこう大変です。 私たちは通訳ではありません。 ただ外国人と結婚しただけの人です。 日常会話を話せるのと、難しいトピックも理解して対処していくのとではレベルに大きく差があります。 それをやっていかなければならないわけです。 普段、全て相方がやってくれますから、私たちはその大変さに気付きません。 離婚して初めて気付くかもしれません。とても気の折れる作業です。 まとめ 結婚自体は日本人同士の結婚と大差ありません。 お互いの個性の違いが問題にもなりますし、そこが楽しいところでもあります。 離婚したときの苦しみとは、つまるところ外国生活の苦しみです。 離婚した相方のほうは、離婚しても全く被害がありません。 きっと実家に戻って普通に暮らすだけでしょう。 被害を被るのは外国に住む私たちだけです。 帰る実家もなく、保証人もなく、夢も希望もない状態を避けるためには、 問題のない平時こそ大事です。 色んな手続きを全て相方任せで頼るのではなく、できるだけ自分でもできるようにしましょう。 そして離婚してもなんとかなるように、確固たる経済的な手段を持ちましょう。 (お金を持つ、仕事を持つ。) そして、万一の時は、 離婚は早ければ早いほど良いです。 決断は先延ばしせず、スパッとしてください。 |
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